高血圧症とは?
血圧の基礎知識
まず、高血圧症を理解するためには「血圧」の仕組みを知ることが大切です。血圧とは、血液が心臓から全身に送り出される際に、血管の壁にかかる圧力のことを指します。この圧力は、血液を全身に循環させるために必要なもので、通常、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)として測定されます。
- 正常血圧:収縮期血圧が120 mmHg未満、拡張期血圧が80 mmHg未満
- 高血圧症:収縮期血圧が140 mmHg以上、拡張期血圧が90 mmHg以上
高血圧症は、収縮期または拡張期のいずれか、もしくは両方が基準値を超えた状態を指し、慢性的に血圧が高いことが問題です。
高血圧症の分類
高血圧症は大きく分けて、以下の2種類に分類されます。
- 本態性高血圧症(原発性高血圧) 全体の約90%を占め、明確な原因が特定できないタイプです。遺伝的要因や生活習慣(食事、運動不足、喫煙、ストレスなど)が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
- 二次性高血圧症 他の疾患や薬物の影響で発症するタイプです。腎臓病、ホルモン異常、または特定の薬(例:ステロイド、経口避妊薬など)が原因となることがあります。
高血圧症の原因とリスク要因
高血圧症の主な原因には、以下のような要因が挙げられます。
1. 遺伝的要因
家族に高血圧症の人がいる場合、遺伝的に血圧が上がりやすい体質を持つことがあります。
2. 生活習慣
- 食塩の過剰摂取:塩分を過剰に摂取すると、体内の水分量が増え、血圧が上昇しやすくなります。
- 運動不足:体重増加や血流の悪化が原因となり、高血圧を引き起こしやすくなります。
- 喫煙・アルコール摂取:喫煙は血管を収縮させ、アルコールは一時的に血圧を上昇させることがあります。
- ストレス:ストレスを受けると交感神経が活発になり、一時的に血圧が上がりますが、慢性的なストレスは高血圧症を引き起こす可能性があります。
3. 年齢と性別
年齢を重ねると血管が硬くなり、血圧が上がりやすくなります。また、更年期以降の女性はホルモンバランスの変化により、血圧が上がりやすくなることがあります。
4. 肥満
体重が増えると血液量が増加し、心臓や血管にかかる負担が増すため、血圧が高くなります。
高血圧症の症状
高血圧症は「サイレントキラー」と呼ばれるほど、自覚症状が少ないのが特徴です。多くの人が、症状を自覚しないまま放置し、知らぬ間に病気が進行していることもあります。
初期段階の症状
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 動悸(どうき)
- 肩こり
進行した場合の症状
- 視力の低下
- 手足のしびれ
- 胸の痛み
- 息切れ
これらの症状が現れると、心臓や脳、腎臓などの重要な臓器にダメージが及んでいる可能性があるため、すぐに医師に相談することが大切です。
高血圧症の診断と治療法
診断方法
高血圧症の診断は、主に血圧測定によって行われます。家庭用血圧計を用いて、定期的に血圧を測定することが推奨されます。診断の基準として、複数回の測定結果が140/90 mmHg以上であれば、高血圧症と診断されることが一般的です。
治療法
- 生活習慣の改善
- 食事療法:塩分の摂取量を1日6g以下に抑える
- 体重管理:適正体重を維持する
- 禁煙・禁酒
- 適度な運動を行う(ウォーキングやヨガなど)
- 薬物療法 生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合、降圧薬を使用します。医師と相談し、適切な薬を選ぶことが大切です。
高血圧症の予防策
1. 食事の見直し
- 減塩:塩分の摂取量を減らし、野菜や果物を多く摂る食生活を心がけましょう。
- カリウムの摂取:カリウムは、余分な塩分を体外に排出する効果があり、血圧を下げる効果があります(バナナ、ほうれん草、アボカドなどに多く含まれます)。
2. 運動習慣の改善
ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの有酸素運動を週に3〜5回、30分以上行うことが推奨されています。
3. ストレス管理
適度な休息や趣味の時間を設け、ストレスをため込まないことも重要です。瞑想や深呼吸などのリラクゼーション法を取り入れることも効果的です。
4. 禁煙・禁酒
喫煙は血圧を急激に上げるため、完全にやめることをお勧めします。また、アルコールは適量であれば問題ありませんが、過剰摂取は血圧上昇の原因となるため注意が必要です。
まとめ
高血圧症は、多くの人が気づかないうちに進行する可能性があり、放置すると重大な病気を引き起こす恐れがあります。しかし、正しい知識を持ち、日々の生活習慣を改善することで、予防や治療が可能です。定期的な血圧測定と生活習慣の見直しを通じて、健康的な生活を送りましょう。